Shop Pay(旧Shopify Pay)決済について考えてみる

ShopifyでECを運営している人なら、Shop Pay(旧称:Shopify Pay)という決済方法を耳にしたことがあるかもしれません。

類似の決済方法としてAmazon Payが挙げられます。Amazon Payの場合は、Amazonアカウントに登録されている住所やクレジットカードなどの情報を使って決済するので、いちいち入力する手間が無く、何度もクレジットカード番号を晒さずに済む安心感があります。

Shop Payもこれと同じメリットを狙った決済方法になりますので、Amazon PayのShopify版のようなものと考えると分かりやすいと思います。

Shop Payとは?

Shopifyが提供している決済サービスで、アカウントに住所やクレジットカードなどの情報を登録しておけば、次回から住所やカード情報を再度入力しなくても簡単に支払ができるというものです。

Shop Payの導入方法

Shop Payの導入は非常に簡単です。Shopify管理画面の設定>決済からShopify Paymentを選択し、Shop Payのチェックボックスをオンにするだけです。

Shop Payの仕様

以下は2022年2月時点の仕様となりますが、ユーザーが決済する流れを紹介していますので、ご参考ください。

Shopifyの決済画面においてShop Payは紫色のアイコンで表示されます。※Shop Payは初回に情報登録しておけば次回から住所や決済情報を入力しなくて良いというサービスなので、他の決済のように住所入力後に決済選択するようだと意味がなくなります。そのため、情報入力する前の段階でしっかり表示させなければShop Payのメリットが出ません。

Shop Payボタンを押すと以下の画面に遷移し、メールアドレスの入力を求められます。

新規で利用する場合、メールアドレスを入力すると、以下のように携帯電話番号の入力を求められます。既に別メールアドレスでShop Payに登録していた場合、同じ携帯電話番号は使えませんので、注意です。ここで携帯番号を入力すると、その番号宛にショートメールで認証コード(6桁の数字)が届きます。※携帯電話番号を変更したい場合は、Shop Payのアカウントページにログインします。

新規でShop Payを使う場合、認証コードを入力すると、配送先やクレジットカード情報の入力画面になります。また、すでにShop Payで登録していた場合、認証コードを入力すると、登録済みの情報が出てきます。

※ちなみに、アカウントを削除したい場合はこちらのページからメールアドレスを入力し、届いたメールに記載されているリンクを踏むことで、アカウント削除が完了します。

クレジットカードのオーソリ(オーソリゼーション)が通れば、あとは支払いボタンを押せば決済完了です。

Shop Payの使用感

私自身も実際に決済を行ってみて、分かりやすいUIだと思いました。ECに慣れている人なら、特に問題なく決済を完了できると思います。また、Shopifyで作られたECで買い物をする頻度が高い人にとっては、決済時に入力するステップが大幅に減るので、楽に決済を完了することができます。

ただし、ショートメールを利用していない人は、そもそも利用できないサービスになります。少し古いですが、平成26年の総務省によるSMS利用頻度調査によると、SMSを利用しないユーザーは11%となっています。これがEC利用ユーザーにも当てはまるとは言えませんが、利用できないユーザーが一定数いることは意識しておいたほうが良いでしょう。

また、私が検証した際(2022年2月:PCにてGoogle Chrome最新バージョンのシークレットモードを使用)、試しに間違った認証コードを入力したところ、もちろんエラーで弾かれましたが、正しいコードを入力しなおすことができませんでした。通常のチェックアウトページに遷移するリンクも設置されていますが、気づかない場合は離脱要因になるかもしれません。

※何度も認証コードを間違えると、Shop Pay決済を進めることができなくなる仕様になっており、その辺りのセキュリティはしっかりしています。

ECサイトにShop Payを導入するのは、アリかナシか

Amazon Payの認知度に比べると、まだまだShop Payは知られていません。Shop Payを知らないユーザーが、カード情報を保持させてまでわざわざこの決済を使うかな?という疑問があります。

導入結果について調べたところ、Shopifyの公式ブログに、以下の記載がありました。

Shop Payを有効化している10,000店舗を対象とし、2020年1月中旬から2月中旬の1ヶ月間、調査をおこないました。調査の結果、通常の決済方法と比べるとShop Payは注文単位のコンバージョンが平均して1.72倍高いことがわかりました。

サッと読み流すと「Shop Payを導入すると、コンバージョンが高くなるんだ」と受け取ってしまいますが、ここでは注文単位のコンバージョンで比較しているという点が重要です。

Shop Payをあえて利用するユーザーはShopifyでの購入に慣れている、もしくは購入サイトに対するエンゲージメントが高いことが予想されます。そのため、注文単位のコンバージョンを単純比較するなら、Shop Payのほうがコンバージョンが高くなる傾向が出るのは当然です。Shop Pay導入によって全体コンバージョンが上がることに直結するわけではありません。

Shop Payをテスト導入してみた結果

中規模Shopifyサイト(平均注文額3.5万円・月間300注文程の物販サイト)で、テストとしてShop Payを3日間有効にしてみました。その間、Shopify Payment(クレジットカード決済)利用は全体の19%、Amazon Pay利用は18%、コンビニ決済利用は5%、Shop Pay利用は0%でした。まだまだShop Payが浸透していない様子が伺えます。もう少し利用が多ければカゴ落ちやCVRの変動を見てみたかったのですが、検証できませんでしたので、他サイトでもテストを実施してデータを集め、改めて検証する予定です。

考察

既に導入している決済の種類や利用ユーザーの属性を考慮してみて、離脱やユーザーを迷わせる可能性が気になるのであれば、あえて導入しなくても良いかと思います。とはいえ、前述のとおり導入設定はとても簡単ですので、まずはテストしてみて判断するのも良いでしょう。

 

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