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靴サイズ計測の最新テクノロジー:ZOZOMAT(ゾゾマット)はZOZO成長鈍化の解決策になるか

ファッションECサイト 「ZOZOTOWN」を運営する株式会社ZOZO本社:千葉県千葉市)は、スマートフォンを使って精度の高い足の3Dサイズ計測ができる「ZOZOMATゾゾマット)」を開発した。昨年2019年6月の予約受付開始では、初日だけで20万件をこえたほどの反響があり当初は昨年内に発送予定とされていたが、満を持して今年2月下旬から配送が開始されている。

アパレル通販という業態において避けることのできないのは、試着ができないという課題である。それを解決するために、同社では2018年に体型サイズを正確に計測するための計測用スーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」をリリースしている。

その時の技術や経験を活かし、今回はZOZOMATを使った足のサイズ計測によって、顧客一人ひとりの足の形に相性のよいサイズの靴を提案することを目的としている。

当編集部にもZOZOMATが届いたので、その使用感や計測の精度を確認するとともに、とるべき戦略を考察したい。

ZOZOMATの使用感

今回、当編集部に届いたZOZOMATを使って、属性がそれぞれ異なるスタッフ数名で実際に計測を行ってみた。

1:20代男性スタッフSの場合

前提情報:普段からスマートフォンのアプリを使ってZOZOTOWNを年に何回か利用している。PCリテラシーも高く、以前ZOZOSUITを利用してジーンズを購入したこともある。

「思ってたより、全然簡単に計測できますね。ZOZOTOWNは普段からアプリで使っているので操作は慣れてますし、全然抵抗なかったです。精度もすごいし、これ普及したらすごいことになるんじゃないですかね。彼女にも計測してもらって、相性度が高い靴をプレゼントしました。」

初回計測にかかった時間は3分30秒。

写真説明

ZOZOTOWNアプリでの計測結果画面(左)と、相性度の高いシューズ表示画面(右)。

計測結果は3Dで表示され、それに基づいた相性度が算出される。相性度とはその靴を履いた場合に満足する確率とされている。

相性度が60~100%の場合はサイズ感に満足する可能性が高く、30~59%の場合はあえて大きめ・小さめを選ぶ場合によいとされる。相性度が0~29%のサイズでの購入はZOZOTOWN非推奨とされる。

2:40代男性スタッフYの場合

前提情報:パソコンやスマートフォンはよく使うが、インターネットで買い物をするのはAmazonくらい。スマートフォンは情報の入力が面倒なため、インターネット通販利用ではデスクトップパソコンをもっぱら使用している。アパレルはインターネットより実店舗で購入する派。

「慣れるまで結構時間がかかり、根気が要りますね。でも、単に足のサイズだけでなく、指先の形の分類まで教えてくれんですね。自分で把握している靴のサイズと比較しても、大体合っています。確かにすごい技術ですが、お店で試着したほうが確実で早いし、個人的にはここまでして靴を買おうとは思わないですね。」

初回計測にかかった時間は6分。

写真説明

計測した人の足のサイズについては、大きさだけでなく足のタイプや平均と比べてどうなのか詳細を教えてくれる。

スタッフYの指先はエジプト型と表示されたが、ほかにも日本人では1割ほどしかいないスクエア型と表示されるスタッフもいた。

さらには足幅の広さや甲の高さが平均と比べてどうなのかが表示されるようになっている。普段見慣れている自分の足の形が数値化されることで、足の形は人によって千差万別であることに改めて気づかされる。

3:30代女性スタッフMの場合

前提情報:ほとんどインターネット通販を利用していない。スマートフォンはLINEや通話、Google検索のみ。PCもどちらかというと苦手で、困ったときは自分の代わりに夫に作業をお願いしている。

「ZOZOMATは左足から計測するのですが、やっと計測が終わったと思ったら”計測に失敗しました”という表示。この時点で心が折れかけました。こんな機会がなければ、絶対使わないですね。でも、うちの子どもたちにもやらせてみたら、スキャン成功となるのが楽しいみたいで、みんなでワイワイやっているうちに、結局家族全員のデータを取りました。精度はすごいと思います。」

初回計測にかかった時間は8分。

写真説明

計測にはZOZOTOWNアプリのダウンロードが必要。普段からスマートフォンのアプリに使い慣れている人であれば、問題なく利用できるはずだ。

計測のやり方は、動画でわかりやすく説明される。実際に計測をスタートしてみると、シートのスキャン(スマートフォンをZOZOMATの指定された色の方向にかざして読み取りを行う)に失敗することが多々あり、ここでストレスを感じるスタッフが多かった。

今のところ、1アカウントあたり最大5人まで計測データを保存することができるようになっている。

ZOZO成長鈍化の解決策になるか

上記のとおり、計測のインターフェースや精度については素晴らしく、ZOZOMATでの計測に抵抗がないユーザーにしっかりとリーチできれば、ZOZOが目指す「ECでの靴の新しい購入体験」は問題なく実現できそうだ。しかしながら、現状の成長鈍化に対する解決策となるかは疑問が残る。

今年1月31日に発表された2019年10〜12月期のZOZOの業績は、商品取扱高(GMV)は前年同期比0.3%増の942億円、営業利益は同42.0%減の61億円と大幅に落ち込んだ。天候不順と消費増税の影響で売り上げが伸びなかった上、PGAゴルフツアーやバスキア展などの大型プロモーション費用も重なったことが理由だという。

ZOZOが発表した上記の理由以外にも、多くのアクティブユーザーをかかえる楽天やamazonなど大手モールがファッション事業を強化してきたことが成長鈍化の要因として考えられる。

かつてはファッション好きなユーザーが満足する取り扱いブランドを多く擁していること、それらのブランドをタイムセール等でお得に買えること、サイトのカッコよさに起因するユーザー体験を武器に、ファッション通販領域で圧倒的な存在感を出していたZOZO。だが近年、楽天やamazon、さらにはZOZOの親会社であるヤフーが運営するPayPayモールも含め、各モールで同じようなメリットが出てきた以上、ユーザーにとってお買い物するのはZOZOでなくてもよくなったわけである。

ではZOZOMATによって「靴のサイズ選びで迷わない」ことが実現すると、ZOZOTOWNから他モールへの離脱を防ぐことができるかとなると、疑問が残る。計測して終わりになってしまうユーザーも多いであろうし、計測した結果を見て他モールで購入するユーザーも出てくるはずだ。

ZOZOMATと連携し、ユーザーの足型に合う靴を試着なしでレコメンドされる靴専門のECサイト「ZOZOSHOES」が3月4日にオープンされたが、計測からZOZOでの買い物に結びつける動機作り(例えばZOZOMATの結果を使って購入したユーザーへのポイント付与など)が必要であると思われる。店舗での購入体験と遜色ない「ECでの靴の新しい購入体験」をテクノロジーの力で実現していくという夢のある事業だが、今後のZOZOの展望を楽しみにしたい。

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